2019年4月吉日
館主だより No.8
今年もギャラリー稲童横の畑に農業班が植えた「日本菜の花」が咲き揃いました。西洋菜の花と違って、花軸が細く花も小さめで何となく便りなさそうな風情ですが、畑一面に黄色の絨毯が敷きつめられた様子は、覗山の新緑とあいまって春たけなわを感じさせてくれました。
この3月にギャラリーで開催しました大分県の未来竹工房B-スクエア入居者3名による竹工芸品の展示会では、若手竹工芸作家の竹工芸の新たなチャレンジを見せていただきました。
この展示会を終えて、原田脩の13回目の作品入れ替え展示を4月から開始いたしております。今回は「脩の軌跡〜作品の変遷〜」と名付けて、画家が生涯にわたって描き続けたテーマを「白水阿弥陀堂」、「浄瑠璃寺」、「秋保大滝」、「羽黒山五重塔」の4つに絞り込み、画風がどのように変遷したかを見ていただきます。
若い頃の試行錯誤を重ねていた作品が、年を重ねてゆくほどに一定の方向性を表し、シンプルでピュアな画面へと進行してゆく過程がご覧いただけます。
5月18日(土)13時から12回目のギャラリックチャーを開催します。講師として、ドイツ・ミュンヘン在住の建築家水島信さんをお招きして、フィンランドの生んだ世界的な建築家でありデザイナーでもある「アルヴァ・アアルト」について語っていただきます。初めて建築家をお呼びして開催する講演会です。「アルヴァ・アアルト」の国際巡回展はこの4月14日まで東京ステーションギャラリーで開催され、評判を呼んでいます。水島さんはアアルトについて「アルヴァ・アアルトの空間―建物から建築へ」という本を出版されています。どんなお話が聞けるか楽しみです。
ギャラリー稲童の春は花が絶えません。菜の花と牡丹が終わったら、カラーと利休梅が白さを競っています。5月の連休にかけては睡蓮と躑躅と芍薬が咲きそろいます。この10連休はずっとオープンしていますので、脩の絵の変遷と庭のお花とコーヒーを楽しみにおいでください。